ブックマーケティング

ブックマーケティングとは?
企業出版を集客と信頼につなげる活用法

「広告を出しても、会社や商品のよさが十分に伝わらない」「専門知識はあるのに、新しいお客様との接点をつくれない」。そんなとき、選択肢の一つになるのが、本を使ったブックマーケティングです。

お客様に知っていただきたいことを、読者が知りたい一冊にする。住宅会社や税理士の本づくりに関わってきた私の経験から、その意義と活用法をお話しします。

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ブックマーケティングとは?本を使って企業の目的を実現する

ブックマーケティングとは、本というメディアをマーケティング戦略の一環として活用し、企業がマーケティング戦略上の目標を実現する手法です。新しいお客様を獲得したい、専門性を知ってほしい、会社や商品への信頼を高めたい。そうした目的を、書籍の販売、配布を通じて達成しようとする取り組みです。

本を制作する方法論としては、企業が費用を負担して出版する企業出版となります。その本を「誰に」「どんな内容で」「どのような手段で」「どんな行動につなげるか」まで考えるのが、ブックマーケティングです。

本の販売(配布)部数だけで成果を判断せず、その本によって企業にどのような変化が生まれたかを見る。ここが、一般的な書籍販売の話と分けて考えたい点です。

私は企業出版の制作を通じて、住宅会社や建築会社、税理士などの専門家が、本をお客様との接点づくりに生かす場面に関わってきました。ここでは、そうした実務経験から、なぜ本がマーケティングに役立つのか、どのような業種に向いているのかをお伝えします。

なぜ今、ブックマーケティングなのか? 

タニタのレシピ本が示した、本と事業のつながり

本を事業につなげる取り組み自体は、昔からありました。ただ、出版をマーケティングの一つとして考えるうえで、多くの経営者にわかりやすい可能性を示したのが、タニタのレシピ本だったと私は考えています。

2010年に大和書房から『体脂肪計タニタの社員食堂』が刊行され500万部以上の大ベストセラーとなりました。2012年にはなんとそのレシピが実際に食べられる「丸の内タニタ食堂」がオープンしています。体重や体脂肪を測る機器で知られる会社が、食事や健康づくりの分野でも身近な存在になった。その展開に、ブックマーケティングが関わっていたわけです。

私がこの事例で注目するのは、本が売れたことに加えて、会社が持つ知識や取り組みを、本を通じて別の事業やブランドの価値へ広げられると示した点です。「自分たちの会社にも、本にすることで伝わるものがあるのではないか」。そう考えるきっかけになった経営者も多いことでしょう。

刊行年・食堂開業年の確認資料:タニタ公式「沿革」。本と事業展開の関係については、上記の事実をもとにした筆者の見方です。

競争の激しい業界では、使う広告メディアも似てくる

もう一つの背景は、いわゆるレッドオーシャンと呼ばれる競争の激しい市場では、各社のマーケティング施策が似てくることです。テレビCM、新聞広告、Webサイト、メールマガジン。大手企業であれば、どこも同じようなメディアを使って情報を発信しています。

銀行でも商社でも、一社が新しい動きを始めれば、他社も追いかけます。商品やサービスに違いをつくり「オンリーワン企業」となろうとしても、伝える手段まで同じであれば、お客様から見て違いがわかりにくいことがあります。

海外でも、航空業界や流通業界の経営者による本が、会社の考え方や経営の姿勢を知る入口になってきました。企業には、商品の名前を知らせるだけでなく、「なぜこの会社がこの事業をしているのか」まで伝えたい場面があります。そのためのメディアとして、本に目を向ける意味があるのです。

自費出版本のPR方法

本は、お客様が「自分から読む」メディアである

新聞の全面広告に1,000万円!? はたして費用対効果はあったのか

広告と本の違いについて、私の経験から一つお話しします。以前、都市型のお墓を扱う事業者の方と関わる機会がありました。郊外へお墓参りに行く代わりに、建物の中でお参りができる形のサービスです。遠くまで出向く負担が少なく、暑い時期でも空調のある場所でお参りができます。

その方は、新聞の全面広告に約1,000万円を使ったものの、問い合わせは5件、100万円のサービスの受注1件程度だった、と話していました。お聞きした範囲では、かけた広告費に対して、期待していた反応が得られなかったわけです。

もちろん、これは一つの事例であり、新聞広告の効果を一律に示す数字ではありません。ただ、私にとっては、「大きな広告を出せば、それでお客様が来てくださる」とは言えないことを実感した経験でした。特に高価格の商品では、名前を知っていただくことと、安心して購入していただくことの間に、距離があります。

興味のある本なら、自分から情報を取りにいく

好きな会社のCMでも、同じような宣伝が何本も続くと、もう十分だと感じる方はいるでしょう。新聞広告も、関心がなければ読み飛ばします。広告が目に入ったことと、内容を理解していただけたことは、同じではありません。

ところが、本になると、興味のある人は自分から読みます。家づくりに不安がある人は、失敗しない住宅の選び方を知りたい。会社の数字が苦手な経営者は、決算書の見方を理解したい。読者の側に、情報を得たいという積極的な気持ちがあるのです。

企業が伝えたいことを、読者が知りたいことに結び付けられる。ここに、本を使う大きな意味があります。会社案内を長くしただけの本より、読者の疑問に答える本のほうが、手に取っていただく理由をつくりやすいと私は考えます。

5分読んでいただくだけでも、会社への理解を深める時間になる

本は、テレビCMのように一度に何百万人へ届くメディアではありません。私の関わる企業出版でも、届く人数だけを比べれば、大きな広告に及ばないことはあります。

それでも、何気なく手に取った方が5分間読んでくだされば、その間は、会社の技術や考え方、お客様への向き合い方に触れていただけます。短い広告を目にすることとは、情報の受け取り方が違います。

Webの世界でいう「滞在時間」に近い考え方です。どれだけ多くの人に見られたかと同時に、一人のお客様に、どれだけ深く理解していただけたかを考える。高価格の商品や専門的なサービスほど、この視点が役立ちます。

広告と本では、情報を届ける役割が異なる
比較する点テレビCM・新聞広告など本を使ったマーケティング
主な接点 番組や紙面などの閲覧中に情報が届く 関心を持った読者が手に取り、読み進める
伝えやすい内容 商品名、印象、短いメッセージ 専門知識、考え方、背景、具体的な事例
強みを生かす場面 広く知ってもらう、存在を思い出してもらう 疑問を解消する、専門性や信頼への理解を深める
成果を見る視点 到達数、反響、認知の変化など 読後の相談、商談、契約、顧客の理解など

メディアの特徴を整理した比較です。実際の効果は、内容、届け方、対象読者などによって変わります。

第三者の編集が、読者の信頼につながる

私は、本という形そのものにも、信用を支える力があると感じています。出版社や編集者が関わり、内容を整理して一冊にしている。そのことから、読者が「きちんと説明された情報なのだろう」と受け止める場合があるからです。

ただし、出版されているだけで、すべての内容が第三者に保証されるわけではありません。読者の信頼を得るためには、事実を確認し、誇張を避け、読みやすく伝える制作が必要です。本への期待に応えられる内容をつくることが、結果として会社への信用にもつながります。

読者が飽きずに読み進められる順番を考え、専門用語を説明し、具体例を入れる。こうした取材・執筆の工夫は、出版社やライターの得意な仕事です。経営者の頭の中にある知識を、そのまま並べるのではなく、読者が理解できる一冊へ整えることが大切です。

取材・執筆方法 文章表現事例

住宅・建築・リフォーム業界と相性がよい理由

高価格の商品ほど、「この会社に任せてよいか」が問われる

では、どのような業種にブックマーケティングが向いているのでしょうか。私が制作に関わってきた範囲では、高価格で、お客様からの信用が購入の判断に大きく関わる商品・サービスとの相性がよいと感じています。

代表的なのが、住宅会社、建築会社、ハウスメーカー、塗装会社、リフォーム会社です。実際に、当社でも建築・不動産分野の出版をお手伝いする機会は少なくありません。

家を建てるお客様は、価格や見た目だけを見ているわけではありません。地震に耐えられるか。火災や水害への備えはどうか。施工後に不具合が出たら、どのように対応してもらえるか。大きなお金を使うからこそ、簡単には確かめられないことまで気になります。

お客様が知りたいのは、商品の説明と、その会社を信頼してよい理由です。本なら、施工への姿勢、材料の選び方、現場での判断、過去の事例などを、背景から丁寧に伝えられます。

20~30ページの冊子が、営業に欠かせない地域もある

建築やリフォームの分野では、本格的な書籍の前に、20~30ページほどの冊子をつくる例もあります。施工内容や価格、ビフォー・アフターなどをまとめ、お客様にお渡しするものです。

地域でリフォーム会社を探すと、候補が10社、20社と見つかることもあるでしょう。そのなかから選んでいただくためには、「何ができる会社なのか」「どのような仕事をしてきたのか」を、持ち帰って比較できる形で伝える必要があります。

私の印象では、こうした冊子を用意することが、お客様に検討していただくうえで欠かせなくなっている地域や分野もあります。書籍も冊子も、会社の仕事を具体的に理解していただくという点で、共通する役割を持っています。

書店で読者と出会う本にするのか、地域のお客様へ直接お渡しする冊子にするのか。予算と目的に応じて選ぶことが大切です。出版した本の例は、出版実績一覧でもご覧いただけます。

出版実績販売分

税理士などの士業は、専門知識を本にして相談の入口をつくる

売り込みが得意でなくても、知識なら伝えられる

高価格なのは商品だけではありません。弁護士、税理士、司法書士、行政書士など、専門的なサービスを提供する方々にも、信用は欠かせません。

私がお会いしてきた専門家のなかには、仕事には自信があっても、自ら営業に出向くことに抵抗がある方もいました。「先生」としての立場もあり、積極的な売り込みにはなじみにくいと感じるのかもしれません。その感覚は、私にも理解できます。

そうした方が、ご自身の専門知識や考え方を本にすると、読者との出会い方が変わります。読者は、悩んでいることへの答えを読むなかで、著者の説明のわかりやすさや、仕事への姿勢を知ることができます。

相談する前に、「この先生なら、自分の悩みを理解してくれそうだ」と感じていただける。これが、専門家の本が持つ大きな役割だと思います。

「黒字企業の特徴」「決算書の見方」も、本になる

私は、税理士の方がブックマーケティングに使う本の制作にも、これまで2~3冊関わってきました。テーマとして考えられるのは、「黒字企業にはどのような特徴があるか」「損益計算書(PL)や貸借対照表(BS)をどう読むか」「よい税理士をどう見つけるか」といった内容です。

専門家にとっては日常的な知識でも、経営者にとっては、誰かにわかりやすく説明してほしい疑問です。読者の立場からテーマを考えれば、ご自身の専門性を伝えながら、読者の役に立つ本をつくれます。

実際に、私が関わった税理士の方でも、本を活用して顧問先を獲得された例がありました。本を出しただけで契約が決まるということではありませんが、専門知識を知っていただき、相談へつながる接点を持てたことには意味があります。

話す内容はあっても、原稿を書く時間が取れない方もいらっしゃるでしょう。当社では、担当ライターが取材を通じてお話を伺い、読者に伝わる原稿へまとめる方法もご提案しています。

ライター個人プロフィール紹介

何件の契約で出版費用を回収できるか?費用対効果の考え方

住宅が1軒売れることの意味は、商品の単価と利益によって変わる

ブックマーケティングを検討する際、経営者が気になるのは、かけた費用に対して、どのような成果が見込めるかでしょう。ここでも、販売部数より、その本から生まれる事業の成果を見る必要があります。

例えば、住宅会社が500万円をかけて本を制作したとします。その本をきっかけに住宅が1軒売れ、その1軒から得られる利益が出版費用を上回るのであれば、1件の成約でも費用を回収できる計算になります。

これは計算の考え方であり、500万円が住宅会社の標準的な出版費用という意味でも、1軒売れれば必ず回収できるという意味でもありません。回収できるかどうかは、商品の売上高ではなく、追加の受注から得られる利益を見て判断します。

税理士の顧問契約では、年間の収入と継続性も見る

税理士の方の例なら、出版の制作費を200万円と仮定します。顧問報酬が月額3万円なら、年間では36万円。そこに決算書の作成などの報酬を加え、顧問先1社からの年間売上を50万~60万円とする考え方です。

この仮定で5~6社の顧問先が増えれば、年間売上は250万~360万円になります。売上の規模だけを見ると、出版費用200万円と比較しやすくなります。さらに契約が続けば、その後の売上にもつながります。

ただし、売上がそのまま利益になるわけではありません。顧問先への対応にかかる人件費や業務の負担、契約の継続期間も含めて考える必要があります。本の制作費だけでなく、配布や販売促進に使う費用も確認したいところです。

原稿内の金額例で考える、出版費用と事業の成果
対象仮定する出版費用成果の見方回収判断で確認すること
住宅会社 500万円 本をきっかけにした住宅の成約 成約1件から得られる利益が出版費用を上回るか
税理士 200万円 年間売上50万~60万円の顧問先が5~6社増えると、年間売上250万~360万円 業務にかかる経費を差し引いた利益と、契約の継続期間

金額は費用対効果を考えるための仮定です。当社の料金表や、成果を保証する数値ではありません。

出版の見積もりを比較するときには、取材・執筆、編集、デザイン、印刷、販売や販促のうち、どこまで含まれているかを確認してください。詳しくは、出版見積書の見方や、企業出版できる出版社の比較も参考になります。

出版見積書の見方 自動見積もり

本をつくる前に、「誰に、何を伝えたいか」を決める

ブックマーケティングが役立つのは、本を通じて、会社や専門家のことを深く理解していただけるからです。広く名前を知らせることに加え、詳しく説明し、疑問に答え、安心して相談していただくための時間を持てる。私はそこに、本というメディアの強みがあると考えています。

特に、住宅・建築のような高価格の商品や、税理士などの専門的なサービスでは、「この会社、この人に任せてよいか」が選択の大きな基準になります。その判断に必要な情報を、読者が読み進められる形で届けることが大切です。

まず、誰に読んでいただき、その方のどの疑問に答え、読後にどのような相談へつなげたいのかを決める。その目的が明らかになってから、内容や構成、書籍か冊子か、販売や配布の方法を考えると、本づくりの方針が定まりやすくなります。

また、完成した本をどのように届けるかも、制作の段階から考えておきたい点です。書店やAmazonで販売するのか、見込みのお客様へ直接お渡しするのか。御社の営業や販売促進と結び付く届け方を選びましょう。

ライティング株式会社では、企業の専門知識や経営者の経験を、取材から一冊へまとめるお手伝いをしています。原稿がまだない段階でもかまいません。企業出版のご案内やご相談から出版までの流れをご覧いただき、御社の目的に合う本づくりをご相談ください。

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