自費出版契約のトラブル・リスクとは!?【文芸社・幻冬舎など大手事例含】

文芸社さん・幻冬舎さんなどの大手自費出版でもありえるトラブル事例(売れ残りなど)



自費出版は、多くの方々にとって、一度きりのものです。多額の費用も、発生します。できれば失敗したくないですよね。このページでは「出版契約トラブルに巻き込まれてしまった」「未然にリスク予防策を知りたい」「幻冬舎、文芸社さんなど信用度の高いと思われる大手を含めて起こり得るトラブル事例を知っておきたい」という方々にむけて、どのようにすれば、出版契約を解決できるのか、知っておかねばならないリスクは何か(売れ残った場合)など、具体策をわかりやすくご説明させていただきたいと思います。

  • 販売のトラブル
  • 校正(印刷ミス)のトラブル
  • 出版権のトラブル
  • 原稿執筆のトラブル
  • 増刷(売れ残り)のトラブル
  • 印税支払いのトラブル
  • 返本のトラブル
  • 契約期間のトラブル
  • まとめ

  • トラブル毎の予防策・解決策

    販売のトラブル

    幻冬舎、文芸社さんなど大手を含めて出版契約トラブルに関するもののなかで、一番多いのが販売に関するもの。しかし、多くの出版契約書のひな形では「出版取次を通じて、書店およびネット書店に本著作物を販売する。」という程度のものしか書かれていません。

    以下は実際にTさん(50代 仮名)が経験した話です。大手の自費出版A社の営業マンから次のような営業トークを受けました。「当社の営業力を活かし、全国の都市部大型書店、駅前書店などに集中的に配本する」とのこと。

    ですが、実際に行ってみるとなかなか見つかりません。そこで営業マンに「どの書店にどのぐらいの部数配布されたか、リストを提示してほしい」とクレームをつけた。すると、なんやかやと理由をつけて結局、提出されてきたのは、当初の「営業トーク」とは遠くかけはなれたリストでした。

    その後「これでは話が違うじゃないか」とクレームをつけてもなしのつぶて。しばらくしてその担当者はグループ会社に異動となり、連絡をとることすらできなくなりました。

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    以上のトラブル事例は実際にA社にて起こった例です。被害に合われた方からお聞きしました。お気の毒としかいいようがありません。

    では、どのようにすればこのリスクを避けられるのでしょうか。3つの方法をお教えします。

    第一に、営業マンとの口頭でのやりとりだけではなく、メールやLINEなどの履歴を残しておくのです。

    メールのやり取りがあれば、裁判になった場合などにも、証拠として採用できます。口頭でのやりとりは言った言わないの議論に陥るので、裁判所としても証拠として採用はできないからです。

    もし、口頭で販売に関して事前リスクを確認しておくのであれば、遠慮などせず、スマホなどを使用して、録音しておいてください。以上が代表的な予防策です。line-lrireki.jpg
    つぎに、実際に、トラブルに陥っている方に対しての解決策を紹介します。

    まずは「配本リスト」の提出を出版社に要求しましょう。配本リストとは、日販やトーハンという大手取次(本の問屋さん)が「全国のどの書店に本を納入したのかの、書店名と数」が記載された用紙です。

    出版社側が希望すれば、実費は必要ですが(1万円程度)出してくれます。

    配本リストは、その出版社が作成したものではなく、取次のものですので信用のおける客観的なデータです。そのデータをみれば、出版社が契約前に約束した冊数が、約束通り配られているか、事前にそのリスクを確認できます。

    その点を担当者に指摘していけば、先方としてもグーの音がでなくなり、ある程度の返金に応じてくれる可能性が高まると思います。一度、トライしてみてください。

     第二に、大量部数の印刷をすすめてくる出版社とは契約をしないことです。A社、B社では3000部以上の印刷を勧めてくる場合があります。客観的にいって、著者が無名もしくは初の著作の場合、いきなり3000部はリスクがあると言わざるをえません。

    初の著作で3000部を超える本というのは、現実的ではありません。ほとんどの人の本は100冊〜1000冊以内というのが実売部数です。

    では、なぜそれがわかっているのに3000部の印刷をすすめてくるのでしょうか。印刷費が高く請求でき、見積総額をアップできるからです。高い価格の契約をとりたいからなのですね。営業マンにはノルマがあるのでしょう。

    第三に、販売の時期についての問題です。

    販売時期は、大部分の出版社では1年間という契約がなされているはずです。1年後に在庫がすべて著者側の引き取りという契約になっていると思います。つまり。一年後には、あなたの本は一切扱いませんよ、書店から撤去しますよ、というリスクがある内容です。出版業界の商習慣とはいえ、あまりよくない契約だと思います。

    いまはアマゾンや楽天などネット書店が多数あるのにもかかわらず。

    たとえ1年前に発刊された本であっても、良い本であれば少しずつですが、売れていきます。欲しい読者がいるのに、購入できないという状況は避けたいところです。

    そこで、当社の場合、契約期間は1年としたうえで「出版社、著者から要望がなければ販売契約は自動更新される」という旨の条文を追加しています。これにより、半永久的に販売を続けていくことができ、お客様のリスクを回避しています。

    1年後も販売継続可能かどうか。その点は、契約前に出版社に確認してください。自費出版に数百万円もかけていながら、1年間しか販売しない、というのは良心的ではありません。

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      こういったトラブルやリスクを避けるには良質な業者を見極める目が必要です。お客様の立場になって、無理のない良質な出版をおすすめしようという目的により「日本自費出版ネットワーク」という非営利組織が設立されています。

    ライティング株式会社の編集者は、その組織が認定する「自費出版アドバイザー(2級)」という資格を2名が所持しています。みなさまが契約しようとしている出版社の営業マンに「資格を所持しているかどうか」尋ねてみてください。良質な出版社かどうかの、ひとつの基準になるでしょう。

    校正(印刷ミス)のトラブル

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    自費出版の多くは、紙の本となります。誤字脱字があった場合、紙の刷り直しはできません。電子書籍なら、WEB上ですぐに直せるのですが。。一生に一冊の本なのに、間違いがずっと残るなんて。。これは著者からすれば、耐えられないことですし、いったん印刷されてしまえば直しができないので、トラブルの元となります。

    そのために必要なのが校正です。

    原稿に対して、誤字脱字、論理構成、事実確認などをすすめていく作業です。校正は、著者、編集者、校正者の三者が行います。

    校正には一定の時間がかかります。ふつうに原稿を読むのにくらべて、一言一句注意深くすすめていくため、です。

    まれに、校正を嫌がる著者様がいらっしゃいますが、最低でも1度は、しっかりと原稿に目を通しておきましょう。これがトラブルをふせぐ最善の予防策です。

    もちろん、校正を出版社側に「業務委託」することは可能と、契約書に書かれている場合があります。なので、あまり目を通さないという著者様が多いように思います。

    ただし、委託することはできても、出版社側は、校正についての責任はもたない、発生しないと記載されている場合もありますので、注意が必要です。

    一例を挙げましょう。

    Bさんは誤字脱字を、一字一字、拾い上げて直していく、校正という退屈な作業にあまり関心がありませんでした。出版社まかせということもあり、なんとかなるだろうと高をくくっていたのです。

    本が印刷され手元に送られてから、びっくりしました。表紙の、自分の名前が間違っていたのです。「CO」という名前が、「KO」に間違えて表記されていたのです。本の表紙なので、ものすごく目立ちます。

    名前が間違っている本を出版した、なんて恥ずかしくて周囲に告げることもできません。すぐに出版社に連絡しました。
    「刷り直してください」
    「無理です」
    「なぜですか」
    「校正完了のときに印鑑を押していただいております」
    というように木で鼻をくくったような返事しかもらえませんでした。。。。

    校正の完了のことを「校了」といいます。そのとき、出版社から「校了の確認」の印鑑の捺印をもとめられることがあります。その際、「この内容、そのままで印刷することに同意します。」という意味の文面となります。

    この意味するところは、2つあります。

    第一にこれ以上の原稿訂正はできない。第二にたとえ印刷ミスが発生しても、出版社側に責任が発生しない、という2つの意味です。

    契約書に校正の責任について明記されていない場合、ほとんどの出版社では、校了の確認に捺印かサインをもとめられます。

    そこに同意すると後でミスに気付いても出版社側にクレームを出すことはできず、トラブルへと発展しますので注意してください。なお、同意しないと、印刷を進めてくれません。

    ですので最終的には、校正は著者側の責任となってしまいます。「絶対にミスは許されない」という箇所、たとえば「住所」「メールアドレス」「固有名詞」「本のタイトル」など、重要な部分だけでもとくに注意してチェックするように意識してください。

    出版権のトラブル

    自費出版の契約書は、どの出版社でも、おおよそ同じものが使われています。出版社の協同組合があり、ひな形(テンプレート)を提供しているからです。ある程度しっかり作られていますので、出版社側に有利、著者側に有利ということはあまりありません。

    一般的には、まず最初に「出版権」が設定されます。著者側が、出版社に対して「わたしの本を出版していいですよ」という許可を与える形になります。これは著者側にとって、とくに問題ありません。

    ただし、あなたが出版権を与えるかわりに、その文章内容などに、事実の誤認、盗作、他者への誹謗中傷などが含まれていた場合、出版社もその責任を負うことになります。これらの問題が生じた場合は、トラブルは避けられませんので、著者側には細心の注意が求められます。

    自費出版の多くは、四六判といわれる「通常サイズ」の単行本の形でおこなわれます。よく売れたり、評判がよい本となると、大手出版から同じ内容で「文庫」化しませんかと、声がかかる場合があります。

    その場合、出版社が「出版権」を保持しているため、著者だけで、その要望に応えることはできません。このようなケースでは、著者はその文庫から発生する印税をすべてもらう、出版社は大手出版に出版権をそのまま買い取ってもらい代金を得るということが多いようです。

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    出版権には、電子書籍化も含まれます。つまり、紙の本はA社さんから出版、電子書籍は別のネット書店で出版、ということは通常の契約では無理だということです。ただ、希望を述べることはできますので、その場合は契約前に出版社に了解をとるようにしてもらえれば大丈夫かと思います。

    また、ドラマ化、アニメ化などの映像化権は、出版権に含まれません。あくまでも紙の本と、電子書籍にかぎられると理解してください。

    以上が出版権のおおまかな説明です。

    なお、内容とタイトルに関しての最終決定権は、出版社にあります。しかし、自費出版では、極端な内容やタイトルでないかぎり、希望はほぼ通りますので、ご安心ください。

    ただし、出版社側は「そのタイトルでは売れない」「この部分は、すこし表現を変えたほうがいい」というのは、過去のトラブルからの経験上よく知っている場合が多いです。出版社側からのアドバイスがあった場合は「我」を押し通さずに、検討してみることをお勧めします。


    原稿執筆のトラブル

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    自分で原稿を用意できないので、取材と執筆からまとめてE社に依頼したCさん。もちろん、自費出版の契約ははじめてです。

    取材日になると、ライターのD氏が一人で自宅を訪ねてきました。契約した営業マンは同行してくれなかったので不安な気持ちで、取材がはじまりました。差し出された名刺には「フリーライター」と書かれています。E社の人ではないのかと、契約違反ではないのかと思いましたが、契約金を納めているため、いまさら後戻りはできません。

    できあがってきた文章は、案の定というか、自分の意志とはほど遠く、ライターD氏の個人的な意見が反映されたものとなっていました。その原稿を修正するのにCさんはたいへんな苦労を強いられました。「これなら自分が書いたほうがましだった」と思ったそうです。

    執筆を出版社に代行してもらう場合は、注意が必要です。

    ライターという業務の性格上、外部契約の他者となる場合がほとんどです。「大手工務店にリフォームを依頼したら、知らない大工さんが来た」というのと同じ構図です。もちろん、出版社がライターに外注を出すこと自体、悪いこととはいえませんが、すくなくとも取材1回目は、営業マンor編集者が同行すべきです。

    ライターが取材の方向性を間違える可能性は充分にありえます。その際、軌道修正をうながしたり、できあがった原稿に適切なアドバイスをくわえていくのが出版社の役割だからです。

    出版前に「どんなライターが執筆してくれるのか」を確認するようにしましょう。実際にそのライターが執筆した本があるならば、その本を手に入れて、読んでみるのも一つの手です。よい文章を書いているのか、自分と相性があいそうか、などを判断できる材料となります。

    なお、原稿の執筆費について、詳細を確認してください。よくないケースとしては「執筆料50万円」というあいまいな条文です。

    • 「文字数、ページ数での単価」
    • 「取材費用」
    • 「納期」

    などが記載されているかどうか、確認してください。できあがってきた原稿の量がすくないので「もう少し書き足してほしい」とお願いしても、契約書に書いていないことを理由に断られるケースもあるからです。

    また、出版社側のライターの理由(病気など)で納期がおくれることも考えられます。「誕生日と合わせて出版したい」「会社創立記念日に出版したい」などの希望をもっている場合、納期がおくれるとたいへんなトラブルになります。

    増刷(売れ残り)のトラブル

    増刷とは、追加で印刷することです。売り切れが予想されるような場合、増刷となります。たとえば、1000部印刷して、900部が売れてしまいました。そのときに「このままでは、あと一カ月ほどで、在庫がなくなりそうなので、増刷を検討しましょう」という話がもちあがります。

    みなさんの選択肢は2つです。
    1)欠品した時点で販売終了
    2)増刷して販売をつづける

     1) の場合、なにもしないので問題は起こりません。
     2) の場合には、出版社と著者の話合いの上、部数と印刷費用を決定します。

    部数の決定は、それほど難しいことはありません。

    その印刷費用を出版社がもつか、著者がもつか、という問題がすこし注意が必要です。たとえば500部ほど追加で印刷すれば30万円ほどは費用が発生します。

    当社負担の場合、その30万円は必要ありませんが印税率30%が10%に低下します。著者が30万円負担した場合、印税率30%がそのまま維持できるというメリットがあります。

    以上を考慮したうえで、個人的な意見でいえば、当社のお客様の場合には、出版社負担をおすすめしています。

    著者が費用を負担して、増刷したからといって、その増刷分がかならず売れるとはかぎりません。増刷には売れ残りというリスクが伴うからです。

    出版社はこれまでの多数の経験があるので、その経験を活かし、増刷後もじょうずにリスク管理をおこなうことができます。著者の場合、経験がないうえに、リスク管理もできないという「新たなリスク」を売れ残りという在庫でかかえることになるからです。

    多くの出版社でも、当社と同じく、出版社負担をすすめると思います。もちろん「印刷費は自分で負担する」というチャレンジ精神のある方は、ぜひ、ご自身での負担増刷を決めてくださってもかまいません。

    ちなみに。

    26万部売れたという、文芸社のベストセラー「血液型自分の説明書」シリーズは、自費出版です。こういうベストセラーの多くは、スタート時は著者負担、増刷時からは出版社負担というケースが大半だと思われます。

    増刷はしたくないが、販売はつづけたい。。。

    こういう方におすすめするのは、アマゾンのPODへの登録です。プリントオンディマンドというシステムをつかえば、購入希望者が現れたときだけ、アマゾンがその都度、1部だけ、印刷してくれるというシステムです。ひとつの解決策となるでしょう。


    印税支払いのトラブル

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    印税の支払いに関しては、トラブルは少ないです。なぜならほとんどの出版社で印税率については契約書に明記されていて、著者側もそれに対して了承しているからです。

    ただ、著者にとっては、契約前にその印税率が、適切なのかどうか判断がついていない場合が多いように感じます。

    なので、ここでは代表的な出版社にしぼってご紹介しておきます。

    • 大手A社2%
    • 大手B社5%
    • 当社30%
    • 中堅F社 50%
    • 中堅P社 55%

    2%から55%までずいぶん幅があることが、おわかりいただけたかと思います。また、出版社の規模が大きいほど印税率は低いことがみてとれます(※ネット上のデータを参照の上、平均値を記載)。

    実際の額をみてみましょう。当社の「印税率30%」で「定価1000円で1万部」売れたとします。著者は「1000円×1万部×30%=300万円」。著者は300万円の印税を受け取れることになります。これが大手G社なら「1000円×1万部×5%=50万円」。中堅P社なら「1000円×1万部×55%=550万円」。

    同じ部数が販売できたとしても、印税率が違えば、これだけ収入の差がでてきます。

    「中堅P社で出版するのがもっとも得じゃないか!」と思われるかもしれません。ただ、単純にそうはいかないのが、出版業界です。じつは出版社の取り分は定価の70%ほどです。残りの30%の内訳は、取次(問屋)が8%、書店が22%です。

    出版社はこの70%から、本の配送費、保管費、出版社の経費などが差し引き、残りを著者の印税として渡すことになるのです

    つまり。

    中堅P社は「売上のほとんどを著者にわたしている」出版社ということになります。ただG社の支払い状況がよくないのかといえば、そうではありません。中堅P社が「書店営業が不得意」のに対してG社には営業マンが多数いるので「書店営業が得意」です。

    自費出版を希望する人は、印税率、営業力、その両方をかんがえて検討すべし、なのです。

    では、増刷の場合の印税率はどうなるのでしょうか。多くの出版社では、初版の率がそのまま引きつがれるようです。ただ、A社では5〜8%に上がるので、大手なら一般的にはこのあたりが上限かと思います。

    その支払時期についてはマチマチです。早いところでは4ヶ月後ぐらいから遅いところでは1年後というところまで幅があります。ただ、早いからいい、遅いから悪いというわけではなくて、出版社の事情によります。

    時期についても、契約書に明記されている場合がほとんどです。このトラブルは少ないと考えておいて間違いないです。

    ただし、まったくトラブルがないのかといえばそうではありません。たとえば、大ベストセラーになった場合です。大ベストセラーになった場合、大手でも8%ぐらいが上限となってしまいます。

    大ベストセラーの作家になったと仮定すれば、10%〜15%はほしいところですし、それは出版社としても可能な範囲だと思います。もし契約書に増刷時の印税率が明記されていたとしても、それで諦める必要はありません。

    ねばり強く交渉してみてください。最悪の場合、増刷を認めない、契約解除すると脅してもいいかもしれません(笑)。すると数%ぐらいの幅であれば、認めてくれるのではないでしょうか。

    さいごに補足です。大手のX出版が、実際に売れた冊数をごまかし、すくなく著者に報告しているといった事件がありました。なんど申し出ても嘘の数字がでてきたので、著者が弁護士を通じて強い姿勢を示すと本当の数字を教え、印税を追加で支払ってくれたそうです。出版社のモラルが問われる事件でした。


    返本によるトラブル

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    Eさんは出版社に勧められるがまま、2000部を印刷しました。それから1年が経過しました。するとある日突然、段ボールで10箱分の本が返本されてきました。数えてみると1000部ほどありました。自宅にはそんな大量の本を置く場所すらありません。びっくりして契約書を確かめてみると、販売の契約期間が1年間となっていたので「そのせいか...」と合点がいきました。

    ただ、契約時に「2000部は多過ぎやしないか」と営業マンに相談したのですが「これくらい印刷しないと全国の書店に配本するには数が足りない」と強引に言われ、自分も多少不安に思いながら契約してしまったという落ち度があります。

    それでも代金着払いは納得できません。それで「いったいどうなっているんだ」というクレームの電話を出版社にすることになってしまいました。。。。

    このようなトラブルが起こり得る背景について説明させてください。

    当社の自費出版の契約時には、在庫は送料著者負担で、引き取るという文言がはいっています。契約時には、代金の支払いや、印税のことなどに気をとられていて著者のおおくは、そのことを忘れていることが多いようです。

    在庫の受け取りは、著者にしてみれば、気分が悪いものです。何百万円も出費して売れなかったのですから、それだけで怒りたくなるのは当然です。

    在庫が100冊、倉庫に置かれていると仮定します。その倉庫は多くの場合、出版社直営ではありません。本の場合「湿気」「温度管理」などは重要ですので、ある程度の専用の空調管理システムのある専門サービス業者と契約しているのです。

    この業者は出版社と異なるため、代金着払いの発送となってしまうのです。

    在庫の受け取り時に、どうしても送料を負担したくないのであれば、契約前に出版社と交渉しておくようにしましょう。

    契約期間のトラブル

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    先述したように、自費出版の多くの契約書では、契約期間は1年間とされています。1年後に販売を打ち切り、その時点での売れた冊数に対して印税が支払われます。ですので、印税が支払われた時点でめでたく契約は終了したい、というのが出版社の「本音」です。

    当社の意見としては、この契約はどうかと思います。せっかく出した本が、1年後にまったく販売されなくなる。あまりに悲しい出来事ではないでしょうか。それにもっと後になってはじめて「あの本がほしい」というお客様は実際にいらっしゃいます。

    そういう読者を切り捨てるという姿勢はあまり喜ばしいものではありません。

    ではなぜ多くの出版社は契約期間を一年間と限定し、印税を支払い、あとは知らぬ存ぜぬを決め込むような態度をとってしまうのでしょうか。簡単にご説明します。1年1ヶ月後に定価1000円の本が、1冊売れたとします。その場合、おおくは書店から「注文」を受け付けるという形式になり、倉庫からあらたに1冊だけ、書店にむけて、宅急便で発送しなければいけません。その送料が平均で700円ほどかかります。

    前項で述べたように、定価1000円の本で出版社がうけとるのは70%ですから、700円です。この700円と送料がほぼ相殺されてしまうのです。ですから、本が売れたからといって印税を支払う余裕が出版社には発生しないのです。

    そこで当社では、1年後、印税をお支払いした後にお客様にご希望をお尋ねしています。在庫を引き取り販売を終了、印税は発生しないが販売は継続、のどちらかを、です。

    多くのお客様は「販売」を希望されます。出版社には、それぐらいの配慮があっていいとおもいます。1年後に販売をしてくれないという出版社は意外と多いと思います。予防策としては、契約書を読み込んで気を付けてもらうしかありません。

    まとめ

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    以上、さまざまなトラブルについての原因、対処法お答えしてきました。そもそも、電話がかかってきた、など強い売り込みのある出版社は避けるべきです。たとえ大手であれ、有名であれ同じです。

    大手さんは、営業ノルマがあります。営業マンは大勢いて人件費は膨大です。事務所は東京の一等地ですし、家賃は高い。テレビ雑誌広告は数百万円単位でかかってくる。こういった多額の経費は、みなさんの負担になるわけです。

    「もしかして悪い条件で契約してしまったのでは、、」
    「トラブルになりそう......」
    「もうすでにトラブルになっている」

    という方は、私達、ライティング株式会社にご連絡ください。客観的、公平な視点から、アドバイスをさせていただきます。

    また「トラブルがこわくて自費出版に踏み切れない」という方も大歓迎です。見積もり案、契約書案をお送りし、丁寧にご説明させていただきます。

    お客様にご納得いただいてうえで、制作のスタートとなりますから、安心して進行をおまかせいただけると思います。

    なお、当社は、京都市を拠点とする、日本で唯一の「ゴーストライター専門」の会社です。小さな会社ですが、「本づくりが好き」「お客様のお話をお聞きするのが楽しい」「推敲を重ねてよりよい文章を書きたい」という、意欲のある優秀なライターを揃え、日々、スキルの研鑽にいそしんでいます。

    「適正価格」「高品質」「丁寧な本作り」を大事にしています。

    みなさまとの出会いを心から楽しみにしています。以下から電話orメールにてお問い合わせくださいませ。

    (ページ執筆者・高木伸浩)

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