自費出版・費用の目安は?平均いくら?【例解】
自費出版の費用目安は、どれぐらいか! 平均いくら?!
「自費出版、平均いくら?」
「だいたいでいいので、費用目安を教えてください」
「理解できない費用項目がある」
ありがたいことに、このようなご質問を、御電話やメールにて、多数いただいております。
そこで、このページでは「自費出版 平均 いくら」という単純な疑問にこたえるべく、なるべく出版業界の専門用語をつかわず、やさしい言葉でご説明できればと願い、プロの視点から、基礎知識を解説しておきたいと思います。
目次
はじめに
じつは「自費出版 平均いくら?」「目安は?」という質問にはひじょうに難しいものがあります(笑)。まず、そういうものだとご認識ください。
(ただし当社平均は「150万円」。他社さんは不明......)
なぜなら自費出版という本をつくるという行為は単純なように見えて「あまたの要素」が多々あるからです。そこをはっきりさせないと、目安をお教えできません。
家を建てるときに、比較するとよくわかります。
たとえば、不動産屋さんや建築業者さんに尋ねてみてください。
あなた 「家を建てると、どのぐらい費用がかかるのか」
建築業者 「......う〜ん。イチガイには何とも」
家を建てた経験が人なら、わかると思いますが、以下のような要素がたくさんあるから、ですね。
- 土地とセットの物件を買うのか(いわゆる建売)
- 建物の面積は、どのぐらいか
- 鉄筋か木造か
- 人気の土地なのか、有名ブランド(積水ハウス・ミサワホーム)なのか。
たとえば、平均的なところで、4000万円の土地とセットの建売住宅があったとします。でも、土地だけ買うと2000万円ぐらいになりますね。
郊外や田舎だとこの比率はかわって、土地は500万円もだせば広大なところが手に入ります。そこに、建物はオーダーメイドで3500万円かけて豪邸が建ったりします。
逆に、東京の一等地に4千万円で家を建てようとおもっても、土地すら手にはいらないでしょう。
自費出版の費用目安も、以下のように考えてください。
- 執筆は自分でするのか。
- ライターに頼むのか。
- 本の部数と、ページ数はどれぐらいか。
- 有名出版社か、そうでないか。
- 印刷データは、自分で作るのか、業者に頼むのか。
- ハードカバーなのか、ソフトカバーなのか。
- 装幀デザインは、オーダーメイドするのか。
自費出版の見積書の見方(例)
たとえば、下図の当社の見積もりをご覧ください。
まず、自費出版の費用総額が119万9千円。こうなると「やっぱり平均で100万円以上はかかるのか。自分の予算は50万円だったから諦めるしかないか」と落胆する必要はありません。
「執筆」を当社ゴーストライターにご依頼いただくと、64万8千円。全体の金額が119万9千円なので、ご自身で執筆していただくと、
1,199,000円−648,000円=551,000円
となり、半額近く、安くあがることになります。
私たちは冒頭のお客様からの質問をうけ、すぐに平均的な目安に答えられないと申し上げたのは、このような事情があるからです。
「でも...。執筆は自分で書いた。ハードカバーか、ソフトカバーかかも決めた。部数もページ数も、業者さんに伝えた。けど、すぐに明細や内訳がもらえないので困っている。」
というお客様がいらっしゃるので次項以降で、当社事例の明細の見方についてご紹介させていただきます。
見積書項目① 執筆費について
ゴーストライターに依頼した場合に発生します。ご自身で原稿を書けない方にのみ発生する費用です。ご自身で執筆すると発生しません。
「御社の執筆見積は648,000円だが、他社さんは30万円と言われた。もちろん同じページ数だけど、御社は高くないか?」このような質問をいただくことがあります。
そこでお考えいただきたいことがあります。それは、ライターの質、いうなればランクです。 おおざっぱになりますが、
大きく三段階になります。
上・中・下。
上のライターは、売れっ子のライターさん。芸能人や有名経営者を請け負うことも。
中のライターは、上にはおよばないが、普通にできるライター。
下のライターは、売れないライター。もしくは自称ライター。
おおよそ本一冊分の文字数と仮定すると
上のライターは、100万円以上
中のライターは、50万円
下のライターは、20万円
ぐらいが適正価格になります。ライターの腕の違いによって、価格差が生じるとお考えください。
ですので、お客様から「執筆費が高い」と言われたとき「わかりました。現在ライターは上ですが、中ランクに下げてもいいでしょうか」。
たいていのお客様は、この質問で、私たちが何がいいたいか、お察しいただけます。99%のお客様が「それは困る」とお断りになります。これは出版業界に関係なく「上質」の職人に依頼しようとおもえば、それなりの適正価格がかかるということです。
話を戻します。ただ、ゴーストライターには、その中間的な形式が発生する場合があります。たとえば
「最初の半分は自分で書いた。後半部分だけ執筆をお願いしたい」
「とりあえず、自分で全部書いたけど、内容に自信がない。手直ししてほしい。リライトしてほしい」
というようなケースです。
当社では、全体ではなく部分のみ、のご依頼も承っています。その場合は、ページ数or文字数に比例した部分のみのお見積もりをださせていただいており、その分、価格をおさえることができます。
また、手直ししてほしいという依頼の場合「リライト費」という明細で、お引き受けしています。
その場合も、文字数換算になり、おおよその目安としては、ゴーストライターに依頼した場合の半額となり価格を抑えることができるようになります。
見積書項目② 印刷製本費について
印刷費と製本費の合計額です。
印刷は、インク代と紙代。
製本費は、印刷用紙を表紙まとめたばねる費用です。
先述したように、価格変動の要因は多々ありますが、主なもの3つ、ページ数・部数・製本形式にしぼってご説明します。
ページ数と部数が、増えたり減ったりするとどうなるか。
それは単純に「紙代」がアップすると思ってください。
ページ数では200pの本は100pの本に比べて、紙代が2倍かかりますね。
部数では、200部の印刷代は100部のものに比べて、単純に2倍にはなりませんが、あがってしまうということですね(実際には1.5倍程度)。
紙代が上がれば、印刷費もアップするということです。
つぎに製本形式による費用の増減について。自費出版の際、おもな製本形式は、上製本か並製本のふたつになります。ハードカバー、ソフトカバーとも呼びます。
ハードカバー(上製)は並製にくらべて高くなります。おおよそですが約1.5倍程度だとお考えください。
ソフトカバー(並製)では、多くの場合、機械が自動的に糊付けをして完了します。機械化でオートメーションが発達していますから、価格は下げられるのです。
ハードカバー(上製)では、まず表紙に段ボールのような「厚紙」を使用しますから、その分、紙代が高くなります。
さらに、印刷された紙を束ねる作業は、多くの場合、職人による手作業になります。場合によっては、糸で縫い付けたりしますから。紙代と職人の手作業、この2つによって、上製では並製よりも価格が上がるとご理解ください。(※大量部数の場合は、機械製本も可能)
ですので、もし見積もりの価格を下げたいと思われたのであれば、
「ページ数を減らしたい」
「部数を減らしたい」
「上製から並製に変更したい」
というような希望を伝えれば、価格交渉が可能になります。
見積書項目③ 本文レイアウト費について
印刷データ作成費です。
印刷所にもちこみ、印刷してもらうための「書籍データ」をデザイナーや編集者が作成するための費用です。
みなさまの本は、1ページあたり、何文字にするか、何行にするか、などのレイアウト上の設定が必要になりますね。40字×15行=600字 といったあたりが標準的なところでしょうか。
「文字を大きくして、読みやすくしたい」という場合なら、38字×14行というように、字数と行数をすこし減らすレイアウトにします。
「文字は小さくていいから、文字数を増やしたい」なら、42字×16行というように、字数と行数を増やしたりします。
レイアウト費は、字数や行数を設定するためだけに発生するのではありません。フォントの問題もあります。
明朝体にするのか、ゴシック体にするのか、などです。自伝自叙伝ならば明朝体、実用書や経営書はゴシックで、などと使い分けます。それぞれ印刷用の高価なプロ用フォントを使用します。
もうひとつは、イラストや写真など「画像の配置」にかかる費用です。
本のなかに、イラストや写真を挿入する場合、そのページはまるまる空けておかねばなりません。また、1ページまるまるとまではいかなくとも、半ページほどの大きさの画像を挿入したのならば、そのページのレイアウトは、20字×15行=300字というように変化するということです。
また、1ページに2つの写真を配置する場合、上下にするのか、左右にするのかなどによっても、レイアウトが変化しますね。
このように、文字数、行数、フォント、画像の配置をきめていくことを、本文レイアウトと呼びます。
自伝や実用書で、40字×15行の標準的なレイアウトで、10ページにひとつぐらいの割合で、写真などの画像が配置されるという標準的な本の場合、1pあたり1000円が平均的な相場となります。
つまり。
100pの本 1,000円×100p=100,000円
200pの本 1,000円×200p=200,000円
ほどの費用が発生するとお考えください。
まれに「レイアウトは、自分でできる、マイクロソフト社ワードでもかまいませんか?」という方がいらっしゃいます。もちろん結構です。
その場合、自分のすきな文字の大きさ、行数、レイアウトなどが設定できますし、その分、上記の費用を節約できます。対応しているかどうかは、出版社さんと相談してください。
ただ、多くの出版社では高額な「書籍レイアウト専用ソフト」をつかって作成します。ワードにくらべて細やか、かつ、すばやい設定が可能になるためです。