あなたの小説自費出版のプラン、大丈夫ですか!?
「書けた!」だけで、出版していませんか。あなたの小説を、完成した一冊で終わらせず、誰かに読まれる一冊にする。そのために、出版前からできることがあります。
ライティング株式会社の高木です。小説の出版をお手伝いするなかで、「もっと手前で相談してもらえたら」と思うことがあります。原稿の磨き方、出版社の選び方、最初に刷る部数。このあたりで、その後がずいぶん変わるからです。
本はできたけれど読まれない、お金は使ったけれど納得できない。そうした後悔を減らすために、私が現場で大切にしてきたことを、6つのポイントに分けてお話しします。
※別記事「小説自費出版のメリット・デメリット」もご参照ください。
①「書けた!」は、まだゴールじゃない
一つ目は、書き終えただけで、すぐに出版しないことです。
最後まで書き上げるのは、本当に大変です。でも、「一冊分の原稿ができた」ことと、「読者が楽しめる作品になった」ことは、別なんですね。
そこで、まず小説を編集できるプロに読んでもらってください。
家族や友人の「面白い」だけで判断しない
「友人に読んでもらったら、面白いと言ってくれました」
もちろん、うれしいことです。ただ、ご家族や友人は、あなたが頑張ったことを知っています。関係が悪くなるのも嫌でしょう。だから、言いにくいことまでは言ってくれない場合があるんです。
編集者とは、そこを踏み込んで話します。
結末と登場人物を、編集者と一緒に磨く
例えば、最後に主人公を死なせる小説だったとしましょう。作者は「この死が感動を生む」と考えている。でも、読者からすると、「ここまで頑張ってきたのに、どうして?」という気持ちになるかもしれない。
反対に、生きて終わるより、死によって作品のテーマが伝わる場合もあるでしょう。
どちらが正解かを最初から決めるんじゃないんです。それまでの物語の積み重ねから、この結末に納得できるか。その議論をしてほしいんですね。
それから、登場人物です。多すぎてわかりにくいこともありますが、私が原稿を読んで気になるのは、むしろ、必要な人物が足りないケースです。
特に、主人公の考え方を揺さぶったり、成長を促したりする「メンター」のような存在ですね。
少し古い例ですが、小説の『宮本武蔵』には沢庵和尚が登場します。武蔵には、ライバルの小次郎も、恋人のお通もいます。でも、沢庵和尚との関わりが、武蔵の成長を描くうえで大きな意味を持っている。
主人公と恋人、その家族だけで話が進んでいて、どうも物語が広がらない。そんなとき、別の価値観を持つ人物が一人いるだけで、主人公の違う顔が見えてくることがあります。
全作品に師匠役を出せという話ではありません。人物を増やすか減らすかより、「この物語に必要な役割がそろっているか」を見てほしいんです。
会話のリズムまで整えて、読まれる作品にする
会話と地の文のバランスも大事です。会話ばかりで情景が浮かばない。逆に、説明ばかりで読み疲れる。そんな箇所を、「ここは会話にしませんか」「この説明は削れますね」と、一緒に整えていく。
編集は、誤字を直すだけじゃありません。物語の届き方を変える仕事なんです。
印刷・製本を頼むのか、内容の相談まで頼むのか。依頼先には、その範囲を確かめてください。
予算があっても、急いで使う必要はありません。必要なら半年、一年かけて、編集者とキャッチボールをする。私は、その時間に意味があると思っています。
「書き終わった日を、磨き始める日にする」。まず、ここからです。
小説の自費出版の進め方と、編集・校正などの支援範囲は、小説出版のご案内でもご紹介しています。
②「売ります」のひと言より、売り方の中身
二つ目は、営業トークだけで出版社を選ばないことです。
「全国の書店に並びます」
「大きな新聞に広告を出します」
そう言われると、期待しますよね。でも私は、そこで必ず、「具体的に、どういう内容ですか」と聞いてほしいんです。
「500店舗に並ぶ」なら、実際の棚を見に行く
例えば、「提携書店500店舗に置きます」という説明があったとします。そこで確かめたいのは、店舗数だけではありません。どこの、どんな棚に、どれくらいの期間置かれるのかです。
出版社が書店の一角に棚を借りて、いろいろなジャンルの本をまとめて並べる形もあります。それ自体が悪いわけではありません。ただ、小説を探しに来た人が、その棚まで来てくれるでしょうか。
店の奥で、実用書や専門書と一緒に並んでいたら、小説の読者に見つけてもらいにくいかもしれません。
「書店にある」と「読者の目に入る」は、違うんです。
できれば、その出版社の本が置かれている書店を見に行ってください。パンフレットの言葉より、実際の棚を見るほうがわかることがあります。
新聞広告は、掲載例と総額を確かめる
新聞広告も同じです。
私が見た広告では、20冊ほどの本が並んでいて、それぞれに載っているのは、ほぼタイトルと著者名だけでした。これでは、どんな小説なのか、なかなか伝わりませんよね。
私には、本を読者に売る広告というより、「うちはこんなに本を出しています」という出版社の宣伝に見えました。
だから、「私の本だけの広告ですか」「あらすじや表紙も載りますか」「掲載例を見せてもらえますか」と聞いてください。
例えば、広告込みで200万円のプランと、制作が100万円で、広告を別に10万円かけるプランがあるとしましょう。これは比較のための例ですが、後者のほうが安くて、作品の魅力をしっかり伝えられることだってあります。
地元を舞台にした小説なら、地元の新聞で内容を紹介する方法も考えられますよね。
「広告が付いているからお得」とは限りません。総額と、その中身を見てください。
そして、営業の話だけでなく、原稿への意見も聞く。「この作品のどこが魅力で、どこを直すとよくなりますか」と。
あなたの小説について、具体的な話ができる相手かどうか。私は、そこを大切にしてほしいと思っています。
| 確認すること | 私が確かめてほしい中身 |
|---|---|
| 書店に並びます | 店舗名、棚の場所、ジャンル、配本部数、陳列期間。できれば実際の売場を見る。 |
| 新聞広告を出します | 掲載紙、広告の大きさ、単独広告か複数冊の合同広告か。掲載例を見せてもらう。 |
| 編集をします | 誤字の確認だけか、構成・結末・人物・文章表現の相談まで含むか。 |
| この部数がおすすめです | 販売見込みの根拠、初回の総額、増刷費、保管費を確認する。 |
契約前には、自費出版のトラブル事例も参考に、約束された内容を書面で確認しておいてください。
③夢は大きく、初版は小さく
三つ目は、最初から大量に刷らないことです。
「せっかくなら1,000部、3,000部いきましょう」と言われると、たくさん刷るほうが本格的に感じるかもしれません。
でも、刷った数は、売れた数ではありません。
私が初めての小説出版をお手伝いするなら、まず300部から500部くらいを一つの目安にします。もちろん、読者の見込みや配る予定によっては、もっと少なくてもいいんです。
大事なのは、「何部出したいか」だけでなく、「誰に、何部届けられそうか」から考えることです。
「たくさん刷れば、一冊あたりは安くなりますよ」と言われることもあります。確かに、印刷単価は下がる場合があります。でも、売れない本を大量に抱えたら、支払う総額も、在庫の負担も増えますよね。
一冊の安さより、全体の負担を見てください。
300部を売り切ってから、次の300部を考える
当社から出した小説でも、最初の300部が完売して、さらに300部を増刷した例があります。そのときの追加の印刷費は、私の記憶では30万円もかかりませんでした。
もちろん、本の仕様や時期で金額は変わります。ただ、最初に必要な編集やデザインが済んでいれば、同じ内容で増刷する際に、その作業を全部やり直す必要はないんですね。
最初の300部には、読者の反応を見る意味もあります。どういう人が買ったのか。どこで売れたのか。それがわかってから、次を考えればいいんです。
2,000部刷って、1,500部残った経験から
小説ではありませんが、当社のお客様で、私は300部くらいと考えていた本を、ご希望で2,000部刷ったことがあります。結果として、1,500部ほど残ってしまいました。残った本の多さに驚かれたことは、今でも覚えています。
だからこそ、私は初回部数には慎重です。
「もっと刷りましょう」と背中を押してくれる会社より、「まずはこの部数で様子を見ましょう」と言ってくれる会社のほうが、頼りになることもあるんです。
部数の根拠に加えて、増刷費や在庫の保管費も、最初に聞いておいてください。
夢を小さくする必要はありません。最初の負担を小さくするんです。
部数と費用の考え方は、少部数出版の費用でも詳しくご紹介しています。
④本は、出しただけでは届かない
四つ目は、出版後の販売促進を、出版社任せにしないことです。
「出版社には営業の人がいるんだから、売ってくれるでしょう」
そう思う気持ちはわかります。でも、どこまで動いてくれるのかは、会社や契約によって違います。
本をつくる仕事と、本の存在を知ってもらう仕事。その両方が必要なんです。
そこで、著者自身にもできることがあります。例えば、地元の書店へのご案内です。
書店には「お客様が読む理由」を伝える
本のタイトル、表紙、短いあらすじ、価格、注文方法をまとめたチラシを用意する。出版社と仕入れ方法を確認してから、書店の担当者に相談してみてください。
「地元で小説を書いている者です。こういう作品を出版します。お取り扱いをご検討いただけませんか」
まずは、こういうご案内からです。忙しい時間を避けて、短くお伝えする。事前に連絡できれば、なおいいでしょう。
そのとき、「私が書いたので置いてください」だけでは、書店の方も判断しにくいですよね。
例えば、「この町を舞台にした家族の物語です」「地元の方に、懐かしい景色を楽しんでいただけると思います」。そのお店のお客様が読む理由まで伝えるんです。
もちろん、必ず置いてもらえるわけではありません。でも、作品の背景や込めた思いは、著者だからこそ話せます。
自分の本を自分で紹介することを、遠慮しすぎないでください。
原稿に込めた熱意を、今度は読者に届けるために使ってほしいんです。
訪問時の準備や伝え方は、書店営業の方法も参考になさってください。
本をつくって終わりにせず、誰に届け、どう役立てるかまで考える姿勢は、当社が取り組む企業出版でも同じです。小説なら、その物語を楽しんでくれる読者との出会いを考えていきます。
⑤発売半年前から、「読みたい」を育てる
五つ目は、発売前からSNSで発信することです。
本ができてから、「出版しました。買ってください」と初めて知らせる。それでは、あなたの作品を待っている人がいない状態からのスタートになります。
私は、できれば発売の半年前くらいから、発信を始めることをお勧めしています。
「今、こんな小説を書いています」
「この登場人物の性格で悩んでいます」
「結末を書き直したら、物語がよくなりました」
そんな制作の途中経過を、少しずつ出していくんです。
作品を全部公開する必要はありません。大事な結末を明かす必要もない。書こうと思ったきっかけや、舞台にした場所、執筆中の発見。話せることはいろいろあります。
文章が得意ならnote。続けられる発信を選ぶ
文章を書くのが得意なら、私はnoteを候補にします。短い近況ならX、話すことが好きならYouTubeという選び方もありますね。
あれもこれも始める必要はありません。まず一つ、続けられるものを選んで、例えば週に2、3回、自分の言葉で書いてみる。
ただし、毎回「買ってください」では、読むほうも疲れます。
「この人の文章、好きだな」
「その登場人物、どうなるんだろう」
そう思ってもらえる発信を積み重ねてください。
フォロワーの人数だけを追う必要もありません。実際に文章を読んで、関心を持ってくれる人が増えることが大切です。
原稿を磨いている半年間は、読者との接点をつくる半年間にもできます。
「本をつくる前にファンを集める」というより、「本をつくる過程を、一緒に楽しんでもらう」。そう考えると、発信しやすくなると思います。
| 確認すること | 私が確かめてほしい中身 |
|---|---|
| 発売半年前を目安に | 執筆のきっかけ、舞台、人物、推敲中の気づきを少しずつ発信する。 |
| 制作が進んだら | 表紙づくりやタイトル決定など、読者と共有できる途中経過を伝える。 |
| 発売約1か月前を目安に | 出版社に予約開始日を確認し、あらすじと購入先を案内する。 |
| 発売後 | 書店への案内やSNSでの発信を続け、読者の反応を次の販売につなげる。 |
SNS以外の方法も含めて、本を売るための販売促進を組み合わせていきましょう。
⑥発売日を、最初の出会いにしない
最後、六つ目は、予約につなげることです。
表紙やタイトル、発売日が決まり、出版社側で予約の準備ができたら、いよいよ具体的に案内します。発売の一か月ほど前を目安に、いつから予約できるのか確認しておきましょう。
それまで応援してくれた方に、「あの小説が、いよいよ本になります」と伝えるんです。
表紙を見せる。あらすじを紹介する。どんな人に読んでほしいかを伝える。そして、予約できるページへのリンクを添える。
興味を持ってくれた人が、「どこで買えばいいの?」と迷わないようにすることも大切ですね。
かっこをつけずに、最初の読者へ声をかける
家族や友人、知人にも知らせてください。ここで、かっこをつけすぎないでほしいんです。
「本を出したことを、自分から言うのは恥ずかしい」
でも、知らせなければ、応援したい人にも伝わりません。
「小説を書き上げました。興味があれば、ぜひ読んでもらえるとうれしいです」
そうやって、一人ずつ声をかけてみてください。
予約してくださった方に、オリジナルのしおりや、作品にまつわる短い文章をお渡しする。そんな特典も考えられます。無理なく届けられるものを選べばいいんです。
10人、50人と、実際の読者を増やす
Amazonでの予約を案内する場合も、まず10人、次は50人と、実際に読みたいと思ってくれる人を増やすことを考えてください。
何冊予約が入れば、おすすめに表示される、という約束はできません。私が大切だと思うのは、発売前から買いたい人がいて、その人たちに迷わず注文してもらえる状態をつくることです。
自分で大量に買って数字をつくるより、一人ずつ読者を増やす。その一人が読んで、感想を伝えてくれる。そこから、次の読者につながる可能性が生まれます。
発売日は、宣伝を始める日ではなく、待ってくれた読者に本を届ける日にしてほしいんです。
予約の前提になる販売の準備は、Amazonで本を販売する方法でご案内しています。
まとめ:焦って出さない。出したら終わりにしない。
- 書き終えても、すぐに出さない。編集者と原稿を磨く。
- 出版社は、営業トークより中身で選ぶ。
- 最初から大量に刷らず、小さく始める。
- 販売促進を出版社任せにせず、自分でも書店に働きかける。
- 発売前からSNSで、読者との接点をつくる。
- 予約で最初の読者に届ける。
私は、自費出版の価値は、何千冊売れたかだけでは決まらないと思っています。書きたかった物語を納得できる形にして、誰かに読んでもらう。それ自体に、大きな意味があります。
焦って出さない。背伸びして刷らない。そして、出したら終わりにしない。この三つを忘れずに、あなたの大切な小説を、読者の手元まで届けていきましょう。
※別記事「小説自費出版のメリット・デメリット」もご参照ください。
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